「個人投資家9割負ける嘘」という言葉を耳にして、投資への第一歩をためらってはいませんか。あるいは、すでに投資を始めているものの、この言葉が頭をよぎり、不安に感じている方もいるかもしれません。
株で勝てない2chの書き込みや、株は8割負ける、さらにはFXで9割が負ける理由といった話を見聞きすると、株で勝てないのは当たり前なのだと感じてしまうのも無理はないでしょう。では、なぜ個人投資家はカモにされやすいと言われるのでしょうか。これには、なかなか気づきにくい株で勝てない仕組みや、私たち自身の心理が深く関わっています。
しかし、この通説を鵜呑みにして、資産形成の可能性を閉ざしてしまうのは非常にもったいないことです。この記事では、個人投資家9割負けるデータや、実際の個人投資家の勝率に関する統計、そして利益の平均額といった客観的な情報をもとに、この言説を多角的に検証します。
成功している個人投資家ランキングに名を連ねる人々がいるのもまた事実です。この記事を最後まで読めば、なぜ「9割が負ける」と言われるのか、その背景にある真実と、過度な不安を乗り越えて着実に資産を築くための具体的な道筋が明確になります。
【この記事で分かること】
- 「9割負ける」と言われる言説のデータに基づいた真偽
- 多くの投資家が損失を出す心理的な理由と市場の仕組み
- 短期売買と長期投資における勝率の決定的な違い
- 投資で成功するために実践すべき具体的な戦略
「個人投資家9割負ける嘘」の真相をデータで解明
- 個人投資家9割負けるデータの出所は?
- 最新の個人投資家勝率統計をチェック
- 気になる個人投資家の利益と平均額
- なぜ株は8割負けるとも言われるのか
- 株で勝てない2chの書き込みは本当?
個人投資家9割負けるデータの出所は?
「個人投資家の9割が負ける」という言葉は、投資の世界で古くから語り継がれていますが、その明確な統計的根拠が示されることはほとんどありません。この数字は、公的な機関が大規模な調査を行って算出したものではなく、むしろ投資の厳しさを示す一種の経験則や警句として広まってきたと考えるのが自然です。
この言葉が特に実態を反映していると考えられるのが、デイトレードのような短期売買の世界です。日々のわずかな値動きを追って頻繁に取引を繰り返すスタイルは、高度な専門知識、迅速な判断力、そして強靭な精神力が求められます。実際、米国のデータでは、デイトレーダーの約8割が2年以内に市場から去り、5年後も続けているのはわずか7%に過ぎないという報告もあります。
一方で、過去には日本の金融庁が公表したレポートで、多くの個人投資家が通算損益でマイナスになっているというデータが示されたこともありました。しかし、これは特定の期間を切り取ったものであり、相場全体の状況に大きく影響されるため、このデータをもって全ての個人投資家が常に負けていると結論づけるのは早計です。
要するに、「9割が負ける」という言葉は、全ての投資スタイルに当てはまる普遍的な事実ではなく、特にリスクの高い短期的な投機の世界の現実を色濃く反映した言葉であると捉えるのが適切でしょう。
最新の個人投資家勝率統計をチェック
「9割が負ける」という通説とは裏腹に、近年の個人投資家の勝率に関する統計を見ると、異なる実態が浮かび上がってきます。投資の成果は、その時々の市場環境に大きく左右されるため、常に一定の結果になるわけではありません。
例えば、ダイヤモンド・ザイが2024年初頭に実施した読者アンケート調査によると、回答者の約9割が2024年の運用成績でプラスのリターンを得たと答えています。さらに、そのうちの6割以上が投資資金を10%以上増やすことに成功したという結果でした。これは、2024年の日本株市場が全体的に好調であったことが大きな要因と考えられます。
もちろん、これは特定の投資情報誌の読者という、比較的投資への関心や知識レベルが高い層を対象とした調査である点には注意が必要です。しかし、少なくとも市場環境が良好な局面においては、多くの個人投資家が利益を得ることが可能であることを示唆しています。
これらのことから、「9割が負ける」という言葉が、あらゆる状況において当てはまる絶対的な法則ではないことが分かります。投資の勝率は、経済の動向や市場のトレンドといった外部環境に大きく影響される変動的なものであり、悲観的な言説だけを信じるのではなく、客観的なデータを多角的に見ることが大切です。
気になる個人投資家の利益と平均額
個人投資家が実際にどれくらいの利益を得ているのか、その平均額は多くの人が気になるところでしょう。しかし、これも調査の対象や時期によって結果が大きく変動するため、一概に「平均いくら」と断言するのは困難です。
前述の通り、金融庁が過去に公表したレポートでは、個人投資家の平均損益がマイナスであったという厳しい結果が示されたことがあります。このデータでは、平均投資額1,775万円に対して、平均損失額が525万円に上ると報告されており、これだけを見ると非常に厳しい世界に思えます。
ただ、このような平均値を見る際には注意が必要です。一部の投資家が非常に大きな損失を出した場合、その影響で全体の平均値が大きく引き下げられてしまうことがあるためです。大多数の投資家が小さな利益を積み上げている一方で、少数の投資家が大きな失敗をして平均を歪めている可能性も考えられます。
一方で、日本証券業協会の調査では、NISA(少額投資非課税制度)の利用者が増加しており、特に若年層を中心に、コツコツと資産形成を進める動きが活発化しています。これらの投資家は、インデックスファンドへの長期積立投資などを中心に、着実に利益を上げているケースも少なくありません。
したがって、個人投資家の利益や平均額に関するデータは、あくまで参考の一つとして捉えるべきです。重要なのは、一部の極端な例や平均値に惑わされず、自分自身のリスク許容度に合った方法で、着実に資産を育てていくことだと言えます。
なぜ株は8割負けるとも言われるのか
「9割負ける」という言葉と並んで、「株は8割が負ける」という表現もよく使われます。数字に若干の違いはありますが、これも投資の世界の厳しさを伝えるための警句的な意味合いが強く、その本質は同じです。
この「8割」という数字も、明確な統計に基づいているわけではなく、イタリアの経済学者ヴィルフレート・パレートが提唱した「パレートの法則(80:20の法則)」になぞらえているという説があります。この法則は、経済活動において「全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出している」という経験則です。これを株式市場に当てはめ、「利益の8割は2割の投資家が生み出しており、残りの8割の投資家は利益を得られないか、損失を出している」と解釈されているのかもしれません。
また、現実的な側面として、株式投資で利益を出すことの難しさも背景にあります。株価の短期的な動きを予測するのはプロでも困難であり、売買を繰り返せばその都度、手数料がかかります。利益が出れば税金も支払う必要があり、これら全てのコストを上回るリターンを継続的に上げるのは、決して簡単なことではありません。
このように考えると、「8割が負ける」という言葉は、市場参加者の大半が市場平均に勝つことが難しいという現実や、手数料などのコスト構造を踏まえた上での、経験則的な表現であると理解することができます。
株で勝てない2chの書き込みは本当?
2ch(現・5ちゃんねる)のような匿名掲示板の株式投資関連スレッドを覗くと、「もうダメだ」「大損した」といった、損失に関する書き込みが数多く見受けられます。これらを見ると、「やはり株は勝てないものなのだ」という印象を強く受けてしまうかもしれません。
しかし、これらの書き込みが、個人投資家全体の現実を正確に反映していると考えるのは早計です。そこには、人間の心理的な偏り、いわゆる「バイアス」が関係しています。一般的に、人は利益を得た時の喜びよりも、損失を被った時の苦痛をより強く感じ、その不満や経験を誰かに吐き出したいという欲求が高まる傾向があります。これをネガティビティ・バイアスと呼ぶこともあります。
つまり、うまくいっている投資家はわざわざその成功を自慢げに書き込む動機が薄い一方で、損失を出した投資家は、その悔しさや怒りを共有・発散する場として掲示板を利用しやすいのです。その結果として、掲示板上にはネガティブな情報が溢れやすくなります。
もちろん、これらの失敗談の中には、投資戦略の誤りや心理的な罠など、他山の石とすべき貴重な教訓が含まれていることも事実です。情報源の一つとして、どのような失敗パターンがあるのかを学ぶために参考にするのは有益かもしれません。ただし、それが投資家全体の縮図であると誤解しないよう、冷静な視点を持つことが大切です。
負ける原因を知る事が「個人投資家9割負ける嘘」の第一歩
- 個人投資家がカモと言われる心理的要因
- 知っておくべき株で勝てない仕組みとは
- 特にFXで9割が負ける理由を解説
- 成功した個人投資家ランキングから学ぶ
- 株で勝てないのは当たり前ではない
- 総括:個人投資家9割負ける嘘の捉え方
個人投資家がカモと言われる心理的要因
個人投資家が市場で「カモにされる」と言われる背景には、外部の要因だけでなく、私たち自身の中に潜む心理的な罠が大きく影響しています。その代表格が、行動経済学で示された「プロスペクト理論」です。
この理論の中核をなすのが「損失回避バイアス」で、人は「利益を得る喜び」よりも「損失を被る痛み」を2倍以上も強く感じるとされています。この心理が、投資における非合理的な判断を引き起こすのです。
具体例を挙げましょう。一つは「損切りができない」という行動です。保有する株の価格が下がり、含み損を抱えた状態になると、「損を確定したくない」という強い感情が働きます。「もう少し待てば価格が戻るかもしれない」という希望的観測にすがり、売るべきタイミングを逃して損失を拡大させてしまうのです。これは「塩漬け」とも呼ばれる典型的な失敗パターンです。
もう一つは、逆に「利食いが早い」という行動です。少し利益が出ると、「この利益を失いたくない」という損失回避の感情から、早々に利益を確定してしまいます。その結果、本来であればもっと大きく伸びる可能性があった利益を取り逃がしてしまうことになります。
このように、小さな利益をコツコツと積み重ねては、一度の大きな損失で全てを失ってしまう「コツコツドカン」は、まさに人間の心理的弱点から生じる現象です。市場で勝ち続けるためには、こうした自身の心の癖を理解し、それに抗うための客観的なルールを持つことが不可欠となります。
知っておくべき株で勝てない仕組みとは
個人の心理的要因に加えて、株式市場の構造自体にも、個人投資家が勝ちにくいとされる仕組みが存在します。プロの機関投資家と個人投資家とでは、持ちうるリソースに大きな差があるのが現実です。
まず挙げられるのが「情報の格差」です。機関投資家は、専門のアナリストを多数抱え、企業の詳細な分析や業界動向、マクロ経済のデータを24時間体制で収集・分析しています。個人がアクセスできる情報とは、その質と量、そして速さにおいて、埋めがたい差があるのが実情です。
次に「資金力とスピードの差」も無視できません。機関投資家は、莫大な資金力を背景に市場に大きな影響を与えることができます。また、「HFT(ハイ・フリークエンシー・トレーディング)」と呼ばれる、コンピューターのアルゴリズムを用いた超高速取引は、ミリ秒単位で売買を繰り返します。個人投資家が手動で行う取引では、到底太刀打ちできるスピードではありません。
さらに、短期売買を繰り返すスタイルの場合、「取引コスト」も個人投資家にとって不利に働きます。売買を行うたびに証券会社に手数料を支払う必要があり、取引回数が増えれば増えるほど、そのコストは利益を圧迫します。
これらの仕組みを理解すると、個人投資家がプロと同じ土俵で、短期的な価格変動を当てようとすることがいかに難しいかが分かります。だからこそ、個人投資家は、プロとは異なる戦い方、すなわち長期的な視点に立った戦略を選ぶことが合理的と言えるのです。
特にFXで9割が負ける理由を解説
株式投資以上に、「9割が負ける」という言葉が現実味を帯びて語られるのがFX(外国為替証拠金取引)の世界です。その最大の理由は、FXの最大の特徴でもある「レバレッジ」にあります。
レバレッジとは、「てこの原理」のように、少ない自己資金(証拠金)を担保に、その何倍もの金額の取引を可能にする仕組みです。例えば、国内のFX会社では最大25倍のレバレッジをかけることができます。これは、10万円の資金で最大250万円分の取引ができることを意味し、うまくいけば短期間で大きな利益を得られる可能性があります。
しかし、この強力な仕組みは諸刃の剣です。利益が何倍にもなる可能性がある一方で、損失も同様に何倍にも膨れ上がります。予想と反対に為替レートがわずかに動いただけでも、自己資金を大きく超える損失が発生し、最終的には「強制ロスカット」によってポジションが強制的に決済され、資金の大部分、あるいは全てを失うことになりかねません。
この高いリスクは、投資家の心理にも悪影響を及ぼします。含み損が急激に膨らんでいく恐怖は、冷静な判断力を奪い、前述した「損切りできない」という損失回避バイアスをより一層強固にします。結果として、合理的な判断ができずに損失を拡大させ、市場からの退場を余儀なくされるトレーダーが後を絶たないのです。
言ってしまえば、ハイレバレッジをかけた短期的なFX取引は、投資というよりも投機、あるいはギャンブルに近い側面を持つことになります。この高いリスク構造こそが、FXで多くの参加者が敗れ去る主な理由なのです。
成功した個人投資家ランキングから学ぶ
「9割が負ける」という厳しい現実が語られる一方で、株式投資によって莫大な資産を築き、成功した個人投資家ランキングに名を連ねる人々がいるのもまた事実です。彼らの投資哲学や戦略からは、私たちが学ぶべき多くのヒントが見つかります。
例えば、元お笑い芸人という経歴を持ち、100万円からスタートして80億円以上の資産を築いたことで知られる井村俊哉氏。彼の投資スタイルの核は、企業の価値を徹底的に分析する「ファンダメンタルズ分析」にあります。市場の短期的な人気や雰囲気に流されることなく、企業の財務状況や成長性を深く掘り下げ、株価が本来の価値よりも割安だと確信できた銘柄に集中投資する手法です。彼はデイトレードで失敗した経験から、この長期的な視点に立った投資法にたどり着きました。
また、50万円を元手に26年間で1億円の資産を築いた「なごちょう」氏のように、徹底した「守備重視」の投資で成功を収めている投資家もいます。彼の戦略は、高配当株を中心にしつつも、200銘柄以上に分散投資することでリスクを管理し、配当金を受け取りながら長期的に資産を育てていくというものです。
彼らに共通しているのは、明確な投資哲学と、それを貫くための厳格な自己規律です。市場のノイズに惑わされず、自分自身で立てた戦略とルールを忠実に実行し続けること。これこそが、短期的な勝ち負けを超えて、長期的な成功を収めるための鍵となると言えるでしょう。
株で勝てないのは当たり前ではない
これまで見てきたように、短期売買やハイレバレッジ取引の世界では、確かに個人投資家が勝つのは容易ではありません。しかし、だからといって「株で勝てないのは当たり前だ」と諦める必要は全くありません。なぜなら、個人投資家には、統計的に優位性が高く、再現性のある投資手法が存在するからです。
その答えが、「長期・積立・分散」投資です。これは、特定の銘柄の短期的な値上がりを狙うのではなく、世界経済全体の成長の恩恵を受けようという考え方に基づいています。
「長期投資」は、時間の力を最大限に活用します。例えば、米国の代表的な株価指数であるS&P500は、過去数十年にわたり、数々の暴落を乗り越えながらも右肩上がりの成長を続けてきました。15年以上の期間で投資を続けた場合、どのタイミングで始めても、最終的にリターンがマイナスになったことは歴史上ないというデータもあります。
「積立投資」は、毎月一定額を買い続けることで、価格が高いときには少なく、安いときには多く買うことができる「ドルコスト平均法」の効果を得られます。これにより、高値掴みのリスクを抑え、平均購入単価を平準化することが可能です。
そして「分散投資」は、一つの国や資産に集中させるのではなく、全世界の株式や債券などに幅広く投資することで、特定地域の経済が悪化した場合のリスクを軽減します。
これらの戦略は、相場を読む特殊な才能やスキルを必要としません。むしろ、市場の短期的な予測が困難であることを前提とし、経済成長という大きな流れに乗ることで、着実な資産形成を目指す、極めて合理的な方法なのです。
総括:個人投資家9割負ける嘘の捉え方
この記事を通じて、「個人投資家9割負ける」という言説の多面的な側面を解説してきました。この言葉は完全に嘘というわけではありませんが、全ての投資家に当てはまる真実でもありません。最後に、この言説とどう向き合っていくべきか、重要なポイントをまとめます。
- 「9割負ける」に明確な公的統計データはない
- 主にデイトレードなど短期売買の世界の厳しさを指す警句
- 市場環境が良い時期には多くの投資家が利益を得られる
- 2chなどの匿名掲示板の情報はネガティブな意見に偏りがち
- 投資で負ける主な原因は自分自身の心理的バイアスにある
- 利益を早く確定し損失の確定を先延ばしにする行動が典型的な負けパターン
- 個人投資家は情報や資金力でプロの機関投資家に及ばない
- 特にFXの高いレバレッジは大きな損失リスクを伴う
- 短期売買は手数料もかさみ勝ち続けるのが難しい
- 成功する投資家は一貫した投資戦略と自己規律を持つ
- 長期・積立・分散投資は統計的に優位性が認められた手法
- 15年以上の長期保有で元本割れのリスクは歴史的に大きく低下する
- 世界経済の長期的な成長が個人投資家の強力な追い風となる
- 投資はギャンブルではなく再現性のある戦略を立てることが大切
- 言説に惑わされず自分に合った投資法を見つけることが成功への鍵